歯の寿命は50年くらい(?)

8020達成5割へ!

8020はご存知の通り、80歳になっても20本の歯があるようにしよう!という歯科医師会が進める目標です。

私が大学生だった頃(その昔ですね)、予防歯科の教授に言わせると、そんなの無理無理!ということでした。

でも時代は変わり、近頃ついに達成率ほぼ5割に!!!!

これはめでたい!!

と思っていたら、めでたいことばかりでもないことがわかってきました。

そう、歯が増えれば増えたで、別の問題が。

#1 根面むし歯が増えてきた。

#2 欠けたり、割れたり、折れたりする歯が増えてきた。

#1についてはこれだけで語ることがいろいろあるので、今回は#2のことについてお話ししたいと思います。

歯が割れる人が激増!

誰しも、食事の嗜好は歳を重ねてもあまり変化することがありません。

子供や青年期に好きだったものは、歳をとってもだいたい好きですよね。

お肉好きな人はお肉が、お魚好きはお魚が。歳とって突然野菜が大好きになったとか、お刺身が大好きになったとか、あまり聞きません。

問題は、今の高齢者が硬いものが好きなこと。この世代はおそらく、おやつといえば、堅焼き草加煎餅や南部煎餅だったはず。

そういう方々が、歳をとっても若い時と同じように硬いものを食べるとどうなるか?

歯が壊れるんです。

また、硬いものばかりでなく、毎日毎日歯をつかていると疲労骨折ならぬ疲労歯牙破折も起きてきます。

臨床経験上思うのは、

歯にも寿命があるということ。

歯の寿命は50年!?!?!?(位?)

歯は、人間の臓器の中で、一度出来上がるともう2度と新しくなることのない唯一の臓器です。一時言われていた脳神経細胞さえ、新しくなることが最近わかってきました。

歯は、硬組織といって骨や軟骨の仲間です。でも、骨や軟骨は、日々壊されては作られ、壊されては作られ、大体28日周期で新しく生まれ変わります。ところが、歯は初め出てきた時のまま使っているのです。

ということは、人生一番最初に永久歯が生えるのが5歳から6歳で下の前歯。最後に生えるのが12歳臼歯という親知らずの一つ前の歯。5歳+50年は 55、12歳+50年は 65、そうです、65 62、そうです、62歳を超えた人(62歳だろが!中の人、算数苦手です笑笑)は もう歯の寿命を超えて使っているということに!!!!!

そういう方が硬いものをバリバリ食べるということは、例えて言えば、築50年の木造の橋を 満員の乗客を乗せた大型バスで走り抜けるようなもの。

怖いですね。

いっとき言われていたトンネルやら橋やらの寿命だって30年とか40年らしいですよ。

おまけに、口の中というのは月面とは言いませんがかなりその環境は劣悪です。

天ぷらの出来立ては170度、お茶だって80度超えてます。アイスはマイナス18度くらい。酢の物のpHは2レベルです(とっても酸性度が高い!)

硬さで言えば、堅焼き草加煎餅は小さめの破片を手で折るのは困難なレベル(わかりにくい表現だなあ)

参考に固さを調べた亀田製菓の研究結果のリンクを貼っときます。

https://www.kameda-okome.com/okome-beika.html

ここで一番硬いのは意外なことにキャラメルとなってます。けど考えてみれば、キャラメル噛んで食べる人いないわ。そうなるとやはり粒ガムの外側、そしてやはり堅焼き煎餅ですね。

そういったものを噛んで歯が壊れるわけです。

一部欠けたりくらいなら、まあ治療で補えます。 歯の頭が折れても、神経とって土台立てて、なんとか復活できます。 しかし問題は、薪を割るように真っ二つに割れてしまうこと。一般的に神経をとった歯は脆くなるのが知られてますが、そうでない立派な歯でさえ、真っ二つになるのです。 

割れた歯はどうなるの????

割れた歯はどうするか?

教科書には、「抜歯する」としか書いてありません。

(当院では、抜歯しないで残す裏技を使ったりもしてますが、、、、、)

というわけで、入れ歯の歯の本数が増えないように、

高齢者のお歴々、お願いですから硬いものは卒業してくださいね。